労災対応に関するQ&A

労災対応に関するQ&A

Q労働災害が起きたら使用者はどんな責任を負いますか?

A

 大きくは刑事上、行政上、そして民事上の責任を負うこととなります。
 まず刑事上の責任としては、業務上過失致死傷の可能性があるかないかや、労働基準法、労働安全衛生法等の違反がないかについて捜査が行われることとなります。
業務上過失致死傷の捜査については警察署が、労働基準法や労働安全衛生法に関する捜査については労基署が担当します。
 重大な事件である場合には、送検から起訴へと至り、新聞やテレビ等で大きく報道されることもあります。
 行政上の責任としては、労働災害により労働者が4日以上休業した場合に、労基署へ労働者死傷病報告書を提出する必要があります。
 また、労基署による監督を受けると、法令違反等があれば是正勧告が出され、改善を求められることとなります。
 さらに、労働災害や法令違反が重大なものであった場合には、地方自治体の入札に参加する際に、指名停止等のペナルティを受けることがあります。
 民事上の責任としては、民法上の不法行為又は労働契約法上の安全配慮義務違反に基づく損害賠償責任があります。
 労働災害が起きた場合、労働基準法では、使用者は過失がなくても被災労働者またはその遺族に対して一定の災害補償を行うことを義務付けられていますが、これは労災保険が肩代わりしてくれます。
 しかし、実際には、労災保険による給付額は損害賠償額の一部でしかないことが多く、死亡案件や重大な後遺症が残る案件では、高額の損害賠償金を自己負担しなければなりません。

Q労働災害が起きた時、会社は何に気を付ければよいでしょうか?

A

1 労災指定病院等の受診

  労働災害によるけがや病気の治療は、健康保険の給付対象とはなりません。

 労災指定病院等を受診する必要があり、治療費は労災保険から支払われます。

 やむを得ず労災指定病院等以外の医療機関を受診した場合は、一旦治療費を全額立て替え    てから労災保険に請求します。

 

2 労災保険への請求

 労災保険で治療を受けるには、療養補償給付の請求書を労災指定病院等を通じて労基署に提出します。

  休業補償給付の請求書は、直接労基署に提出します。

 請求をする主体は労働者本人であり、事業主は手続きに協力をしなければならず、手続きへの協力を拒んだりした場合はいわゆる労災隠しとなります。

 請求書の様式には、事故が発生した時刻や発生の原因及び状況等の記載が請求書の記載内容のとおりであることを事業主が証明する欄があるため、事実関係をしっかり調査した上で、これらの記載内容が正確かを確認する必要があります。

 後日、安全配慮義務違反等を理由として被災労働者が事業主に損害賠償請求を行う際に、請求書が事故の状況等を立証する証拠として提出される場合があるためです。

 

3 労働者死傷病報告書の提出

 被災労働者が4日以上休業した場合、事業主は遅滞なく労働者死傷病報告書を所轄の労基署に提出しなければなりません。

 労災保険の請求書と同じく、事故の発生状況及び原因等は正確に記載する必要があります。

 なお、労災保険の手続きを行っていても、労働者死傷病報告書の提出をしていないと、送検され、起訴されることもあるので注意が必要です。

 被災労働者の休業が4日未満の場合、1~3月、4~6月、7月~9月、10月~12月の各四半期に発生した労働災害について労働者死傷病報告書に記載し、それぞれの期間の最後の月の翌月末日までに、所轄の労基署に提出しなければなりません。

 

4 労基署の調査対応

 労働災害が発生した場合、労基署による調査が行われ、事故原因の究明が行われるとともに、法令違反等がないかが確認されます。

  事業主は、事実をありのままに報告する必要があります。

 

5 再発防止策の実施

 労基署の調査により法令違反があった場合は是正勧告が行われ、法令違反には至らなくても改善が必要と考えられる点には指導票が交付されます。

  これらに従って改善を行い、労働災害が再発しない環境を整えることが求められます。

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