セクハラ・パワハラ・マタハラ対応

1 セクハラ・パワハラ

 セクハラとは職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。

 パワハラとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすものをいいます。  

客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワハラには該当しません。

 会社に、セクハラ・パワハラの相談が入るルートには、被害者から上司への相談、会社の人事・総務部門等に設置された相談窓口への相談等があります。

 訴訟に発展している多くの事案で、「会社に相談したのに、会社が何の対応もしてくれなかった、または、すぐに対応してくれなかった」等の、会社の対応の悪さが見受けられます。

 セクハラ・パワハラが発生すると、会社が不法行為や安全配慮義務違反で損害賠償責任を負う等の法的な問題を生じさせることになりますし、職場環境の悪化による生産性の低下をもたらします。

 セクハラ・パワハラの対応で重要なことは、秘密を厳守しつつ十分な事実調査を行うことであり、事実調査の結果、その事実があったと判断した場合は、行為者に対する懲戒処分を検討するとともに、再発防止策を検討することになります。

2 マタハラ

 また、男女雇用機会均等法、育児介護休業法が改正され、妊娠・出産育児休業等に関するハラスメント(いわゆるマタハラ)についても防止措置を講じることが事業主に義務付けられています。

 男女雇用機会均等法第9条第3項では、女性労働者の妊娠・出産等厚生労働省令で定める事由を理由とする解雇その他不利益取扱いを禁止しており、具体的には、①妊娠したこと、②出産したこと、③産前休業を請求し、若しくは産前休業をしたこと又は産後の就業制限の規定により就業できず、若しくは産後休業をしたこと、④妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(母性健康管理措置)を求め、又は当該措置を受けたこと、⑤軽易な業務への転換を請求し、又は軽易な業務に転換したこと等が定められています。

 育児介護休業法10条では、事業主は、労働者が育児休業の申出をし、又は育児休業をしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことが定められており、対象となる具体的な制度は、①育児休業(育児のために原則として子が1歳になるまで取得できる休業)②介護休業(介護のために対象家族1人につき通算93日間取得できる休業)③子の看護休暇(子の看護のために年間5日間(子が2人以上の場合10日間)取得できる休暇)④介護休暇(介護のために年間5日間(対象家族が2人以上の場合10日間)取得できる休暇)⑤所定外労働の制限(育児又は介護のための残業免除)等があります。

 男女雇用機会均等法及び育児介護休業法の不利益取扱いの判断の要件である「理由として」とは、妊娠・出産・育児休業等の事由と不利益取扱いとの間に「因果関係」があることを指し、妊娠・出産・育児休業等の事由を「契機として」不利益取扱いを行った場合は、原則として「理由として」いると解されています。 

 マタハラに関する重要な最高裁判例として、産休期間中の不就労を理由とする昇給、昇格、賞与等についての不利益取扱いが問題となった日本シェーリング事件(最判平成元年12月14日)、労基法65条3項に基づく妊娠中の軽易業務への転換に際して副主任を免ぜられ、育児休業の終了後も副主任に任ぜられなかったことが男女雇用機会均等法9条3項に反するかが問題となった広島中央保健協同組合事件(最判平成26年10月23日)、賞与の支給条件として支給対象期間の出勤率が90パーセントであることを求める条項と産後8週間休業、育児休業法10条に基づく1日1時間15分の勤務時間短縮措置が問題となった東朋学園事件(最判平成15年12月4日)があります。

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